願成就
■2008年10月26日、大崎神社にて願成就が執り行われました。
大崎神社は、ここ大崎が古く塩を生産していたことから塩屋神社とも呼ばれます。
また、願成就は「ガンジョウジ」と発音されます。種子島のあちこちでこの願成就がほぼ同時に執り行われます。
他の集落での願成就は、西之表市の指定文化財などに指定されているものなど観光客で賑わうものもありますが、大崎ではしめやかに行われます。
また、そのしめやかさを打ち破るように、午後には大崎大運動会が盛大に催されます。
■宮司様のいらっしゃる時刻には、集落の各部署(集落にはこのサイトを運営している青壮年会のほか、神社管理、婦人会などの部署があります)の代表やお年寄りが集まります。
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大崎神社のお社 |
願成就は2月の祈願祭で祈願した五穀豊穣が叶ったとして、その御礼を捧げるものです。
まず清めのお払いの後、お社のさらに奥にある祠の扉が開かれ、お供物が捧げられます。
その後、玉串奉奠(たまぐしほうでん)となります。玉串を奉納する者は、一礼して玉串を納め二礼二拍手一礼して下がります。
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玉串奉奠 |
大崎神社には、2匹の亀石や大崎の起こりを記した記念碑があり、その記念碑には由緒正しき三つ鱗の家紋が彫られています。
玉串奉奠の後、宮司様が祝詞をあげ、お供物を下げ、宮司様よりお言葉をいただきます。
以降、六月燈での式と同様に、お神酒を回し、お供物のお餅を分け、宮司様と共に皆で持ち寄ったものを分け合う小宴となります。
六月燈では30分ほどは宮司様(現地名:ホイドン)にもお付き合いいただけるのですが、願成就では宮司様はすぐに別の集落へ向かってしまわれます。
大崎大運動会
■集落としての願成就のメインイベントは、午後からの大崎大運動会です。
もちろん運動会といえば宴会の準備を怠らない大崎集落です。
青壮年会と婦人会は前日から宴の準備に大忙し。
今回の肴のメインは「キハダマグロ」と「マイカ」、「モンゴウイカ」です。前日の定置網にかかった物です。
「キハダマグロ」を2尾もご提供いただいた網元さんは、「ちょっと、もったいないかな」といいながらニヤついていました。
肴は有志により支えられますので、集落の会計は大助かり。皆様からの集落費は存分に酒に注がれます。
その他、ガスコンロでは火力不足なので、加工したドラム缶に大なべを乗せて作る煮魚も大量。野菜の煮物、種子島特産の落花生、安納芋のてんぷらなどなど、51世帯プラス来賓をもてなす料理は十分です。
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集落中がぞくぞく集合 |
残念ながら天候は不順。いつ降り始めてもおかしくない状態。
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定番「ワンゲート」 |
まずは小学生までのかけっこで始まり、出場した子供たちにお菓子が配られます。
司会は例のスペイン帰りのお方、早くもビール片手に序盤から出来上がっています。
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荒れた地面でのバウンド。「ボールは踊る」 |
大きな輪の輪投げ、一升瓶にバスケットボールをぶつけるビン倒し、地面でバウンドさせたボールを自分で背負った籠で受ける競技などなど、若者からお年寄りまで参加して盛り上がります。
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恒例!「くじ引き」 |
ゲームは全世帯に景品が当たるくじ引きに進みます。島外ならば数千円もする安納芋詰め合わせ袋が用意されますが、大崎ではこの時期にはあげたりもらったりして潤沢に安納芋のあるご家庭ばかり。でも頂き物はありがたく頂戴します。
ここまできてついに雨が降ってきました。
しかし一番の出し物が残っています。それは、市の運動会などに足を運べないお年寄りやご都合で観覧できなかった方は、これを目当てに集まってきているといっても過言ではない「婦人会の踊り」です。
踊りの内容は市や区の運動会での報告に譲りますが、ここではそのフルコースを観覧することができました。
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婦人会の踊り+乱入者 |
途中、スペイン帰りのお方が入手元不明な衣装で乱入しますが、婦人会はたじろぎません。子供たちも踊ってますので、若干甘めな乱入具合でした。
そして慰労会へ
■雨が強くなり運動会自体は閉会となりましたが、飲みたりない面々は公民館で慰労会に突入です。
もちろん、この慰労会を見越して肴は余計に用意してあります。
多くの集落の願成就を回った来賓の方々も、なんとか慰労会には間に合いました。
もうグラウンドを走り回らずに飲むことができますので、スタッフのグラスの中身も焼酎に変わっていきます。
ある者は平穏な集落に安堵して酔い、ある者は新しい仲間に乾杯し、世界大恐慌なぞテレビの中だけの話です。
お金は経済の動向で価値が大きく変わりますが、安納芋やキハダマグロ、フリージアの球根などなど、大崎集落の中で差上げるものやいただくものの価値や心遣いは決して変わりません。
今年の大宴会は、これで最後になるかと思います。おそらく...たぶん...。